こんにちは、春日です。
お盆休みはいかがお過ごしでしたでしょうか。
私は広島・新潟・群馬と旅行でグルメを満喫してきました。
さて、例年8月(特にお盆の時期)は多くの不動産会社が休業に入るため、1年でもっとも取引件数が落ちる時期です。売主にとっては「反応がないけど、お盆だから仕方ない」となりますが、
ただ、今年のお盆明けのマーケットは少し空気が違うかもしれません。
休み中もアンテナを張っていた方はすでにお気づきかと思いますが、東日本不動産流通機構が8月10日に発表した7月度のデータによると、首都圏の中古マンション成約㎡単価は84.17万円(前年同月比−1.5%)2026年5月に73か月ぶりに前年同月比マイナスに転じて以降、3か月連続の下落です。
成約件数は3,638件(前年同月比−8.6%)で4か月連続の減少。一方、在庫件数は47,151件(同+5.5%)と5か月連続で増加。(※出典:東日本レインズマーケットウォッチ2026年7月度)
首都圏全体では、成約件数の減少と在庫増加、成約㎡単価の前年割れが重なり、需給面に変化の兆しが見えています。
では、文京区の中古マンション市場はどうなのか。
これから文京区で購入や売却を検討している方にとっては、首都圏全体の数字より「自分が探しているエリアで実際に何が起きているか」の方がはるかに重要です。
前回の記事(2026年上半期まとめ)では、文京区の在庫が2月末の351件から456件(7月11日時点)に増えた全体像をまとめました。
今回はそこからさらに踏み込みます。8月24日時点で508件まで膨らんだ在庫の中身を、「一般売出」と「リノベ再販」に分け、さらに15エリア×面積帯×築年帯まで掛け合わせて分析。
同じ文京区でも、エリアと条件の組み合わせで「出せば1か月で売れる」セグメントもあれば、「半年出しても動かない」セグメントもある。
この差を知っているかどうかで、売り手の値付けも買い手の交渉も変わってきます。
在庫508件の背景 ─ 半年で45%増えた中身を分解する
8月24日時点の在庫件数は508件(専有面積40㎡以上・オーナーチェンジ除く)。
AND LENSが追跡を開始した2月末は351件だったので、半年で+45%です。
月別の推移を見ると、在庫が増え続けている構造がわかります。
| 時期 | 在庫 | 新規売出 | 成約(掲載終了含む) |
| 2月末 | 351件 | — | — |
| 3月末 | 385件 | 131件 | 94件 |
| 4月末 | 396件 | 109件 | 99件 |
| 5月末 | 402件 | 77件 | 83件 |
| 6月末 | 438件 | 110件 | 69件 |
| 7月末 | 484件 | 116件 | 77件 |
| 8月24日時点 | 508件 | 75件(途中) | 37件(途中) |
3月以降、5月を除き新規売出が成約を上回っています。特に6月(+41件)と7月(+39件)は差が大きく、この2か月で在庫が一気に積み上がりました。
なお「成約」には、実際に売れた物件だけでなく、売るのをやめて掲載を終了した物件も含まれています。取りやめの理由までは追跡できないため、純粋な成約件数はこれより少ないかもしれません。また、売りやめ後に再掲載されるケースもあるため、在庫の増減は「新規売出−成約等」と必ずしも一致しません。
8月は取引が落ちる時期です。昨年8月の成約等は73件で、年間でも少ない月でした。今はまだ月の途中。9月以降に取引が回復するまで、在庫はもう少し積み上がる可能性が高いです。
在庫508件を2つに分ける (一般売出とリノベ再販)
508件をひとかたまりで見ても、実態は見えません。一般売出とリノベ再販に分けてみましょう。
| 指標 | 一般売出(299件・59%) | リノベ再販(209件・41%) |
| 価格改定率 | 46%(137件) | 61%(128件) |
| 経過日数 中央値 | 83日 | 93日 |
| 掲載90日超 | 48% | 51% |
| 初回改定まで中央値 | 61日 | 62日 |
| 初回改定幅 中央値 | 3.9%(510万円) | 3.7%(465万円) |
| 最終改定後60日超 | 35% | 9% |
| 2回以上値下げ | 47% | 63% |
| 売出価格 中央値 | 12,900万円 | 10,980万円 |
| 専有面積 中央値 | 62.1㎡ | 61.5㎡ |
| 築年数 中央値 | 築18年 | 築30年 |
| 平米単価 中央値 | 199.3万円 | 176.9万円 |
掲載期間(83日 対 93日)も改定率(46% 対 61%)も、数字だけ見れば大きな差はないように見えます。面積もほぼ同じ。ただし築年数が18年と30年で大きく違い、平米単価にも差がある。単純な「高い・安い」の比較ではなく、それぞれの構造を分けて見る必要があります。
初回の値下げまでの中央値は、一般61日・リノベ62日でほぼ同じ。しかし値下げの回数には明確な差があります。
| 改定回数 | 一般売出(137件中) | リノベ再販(128件) |
| 1回 | 73件(53%) | 47件(37%) |
| 2回 | 34件(25%) | 32件(25%) |
| 3回 | 15件(11%) | 23件(18%) |
| 4回 | 7件(5%) | 11件(9%) |
| 5回以上 | 8件(6%) | 15件(12%) |
一般売出は1回で止まるのが過半数(53%)。リノベ再販は1回止まりが37%にとどまり、3回以上が39%を占めます。
表の3回〜5回以上を見比べると、リノベが一般の倍近い。 さらに改定の間隔も、一般は中央値41日に対しリノベは中央値28日。約4週間ごとに価格を刻んでいます。
リノベ業者は「小さく・速く・何度でも」、一般の売主は「大きめに・ゆっくり」改定のスタイルが根本的に違います。
では、この改定スタイルの違いが結果にどう出ているか。注目してほしいのが値下げの「効き」です。
2026年1〜7月の成約データ(606件)では、改定を経て成約した物件は最終改定から中央値41日で動いています。
6週間がひとつの目安。逆に言えば、最後の値下げから60日を超えてもまだ買い手がついていなければ、その値下げは効いていない可能性が高い。
この「最終改定後60日超」の割合を見ると、一般は35%
値下げした3件に1件は、下げてもまだ動いていない。リノベはわずか9%
この差が、両者の一番大きな違いです。
ではこの差がどこから来るのか、順に見ていきます。
一般売出299件| 値下げのタイミングと効果
2か月がひとつの節目
一般売出299件のうち値下げしたのは137件(46%)です。「売出から初回値下げまでの日数」は中央値61日でした。
2か月を過ぎたあたりで、反応がないことに焦りが出てくる。実際、50%が2か月以内に初回値下げに踏み切っています。一方で16%は4か月以上待ってから改定していますが、待ったぶん結果が良いわけではありません。
初回改定幅は中央値510万円(3.9%)
| 初回改定幅 | 件数 | 比率 |
| 2%未満 | 21件 | 15% |
| 2〜3% | 23件 | 17% |
| 3〜5% | 40件 | 29% |
| 5〜8% | 36件 | 26% |
| 8%以上 | 17件 | 12% |
ボリュームゾーンは3〜5%。1億2,000万円の物件なら360万〜600万円の値下げ。12%は8%以上の大幅改定に踏み切っています。ただし、137件のうち64件(47%)は2回以上値下げしており、初回で決まらなければ複数回の改定を経ることになります。
値下げしても動かない物件の特徴
値下げした137件のうち、最後の値下げから60日を超えてもまだ残っている物件が48件(35%)あります。
2026年1〜7月の成約データでは、改定を経て成約した物件は最終改定から中央値41日で動いています。値下げが効く物件は6週間以内に反応が出る。60日を超えてもまだ動かないなら、改定幅が足りていない可能性が高い。
では、改定しても動かない48件にはどんな共通点があるか?
面積帯
・40〜55㎡:60日超が51% もっとも苦戦
・65〜75㎡:60日超が15% もっとも値下げが効きやすい
価格帯
・7千万円未満:60日超が55% 値下げしても響かないゾーン
・1.3〜1.7億円:60日超が14% もっとも値下げが効くゾーン
築年帯
・築30〜40年:60日超が69%
・築10〜20年:60日超が22%
個別の切り口で見ると、「築30年超・40〜55㎡・7千万〜1億円」が、値下げしても出口が見えにくい組み合わせです。複数回改定を重ねてもまだ残っている物件が多い。このゾーンに該当する物件は、数百万の値下げでは状況が変わりにくいことがデータに出ています。
初回の改定幅と「効き」 出発点次第で結果が分かれる
| 改定幅 | 件数 | 改定後中央値 | 60日超 | 成約㎡単価との乖離 |
| 3%未満 | 44件 | 42日 | 32% | +4.6% |
| 3〜5% | 40件 | 36日 | 38% | +3.8% |
| 5〜8% | 36件 | 42日 | 31% | +4.2% |
| 8%以上 | 17件 | 31日 | 47% | +15.4% |
この表は初回の改定幅で分類し、最終改定からの経過で「値下げの効き」を判定しています。右端の列は、その物件の現在の売出㎡単価が、同じエリア・面積帯・築年帯の成約㎡単価(2026年1〜7月・中央値)とどれだけ乖離しているかを示しています。
3%未満・3〜5%・5〜8%の3グループでは、価格改定後も直近の成約水準を+4%前後上回っていました。また、最終改定から60日を超えて販売が続いている割合は30〜38%です。
なお、残る6〜7割が成約したことを意味するわけではありません。今回の集計は8月24日時点で販売中の物件を対象としており、残る物件は「最終改定から60日以内」の段階にあります。
一方、8%以上価格を改定したグループは17件と母数が限られるものの、そのうち8件(47%)が最終改定から60日を超えて販売を続けていました。さらに、改定後も直近の成約水準を+15.4%上回っています。
大幅に価格を下げたかどうかだけでは、価格の妥当性は判断できません。重要なのは、改定後の価格が直近の成約水準にどこまで近づいたかです。今回の17件については、8%以上の改定後も成約水準との乖離が残っており、それが販売長期化の一因となっている可能性があります。
リノベ再販209件|価格改定の頻度と、それでも長期在庫が残る理由
最終改定後60日超は9%|ただし早く売れたことを意味しない
リノベ再販209件のうち、価格改定済みは128件(61%)です。初回改定率の中央値は3.7%で、一般売出の3.9%とほぼ同水準でした。一方、改定額の中央値は465万円で、一般売出の510万円を下回っています。リノベ再販にはコンパクト住戸が多く、物件価格自体が比較的低いことも影響していると考えられます。
最終改定から60日を超えて販売が続いている割合は、リノベ再販が9%、一般売出が35%でした。
ただし、この差は、リノベ再販が価格改定後すぐに成約していることを直接示すものではありません。リノベ再販は複数回にわたって価格を改定する割合が一般売出より高く、改定間隔も中央値28日と、一般売出の41日より短くなっています。
短い間隔で再改定するたびに「最終改定からの日数」がリセットされるため、リノベ再販は最終改定後60日超に該当しにくくなります。一般売出との違いは、値下げ後の成約スピードではなく、価格を見直す頻度に表れていると考えるのが適切です。
短い間隔で改定しても、長期掲載物件は残っている
リノベ再販の初回改定までの日数は中央値62日で、一般売出の61日とほぼ同じです。一方、複数回改定した物件では、その後の改定間隔が中央値28日まで短くなります。
売出直後の約2か月は価格を維持し、その後も反応が乏しければ、短い間隔で価格を見直していく傾向が見られます。
しかし、価格改定の頻度が高いからといって、掲載期間が短いわけではありません。掲載期間30日以内は14%にとどまる一方、121〜180日が25%、181日以上が16%。合計すると、4か月以上販売が続いている物件が41%を占めます。
つまり、リノベ再販は「値下げ後すぐに売れている」というより、長期掲載になった物件についても、直近まで短い間隔で価格を見直している構造です。出発点の価格が高すぎれば、何回刻んでも成約水準に届かない。結果として在庫の4割を占め続けています。
同一マンション内の売出坪単価差は中央値+4.9%
同じマンションでリノベ再販と一般売出が同時に確認できた47棟を比較すると、リノベ再販の売出坪単価は一般売出より中央値で4.9%高くなっていました。ただし、階数・方角・面積・眺望などの条件差を完全に調整した比較ではないため、4.9%すべてがリノベーションによる上乗せとは限りません。
棟によっては大きく開く例もありますが、中央値で見れば5%弱。同じマンションで「リノベ済み1億980万」と「現況引渡し1億500万」が並んでいたら、差額は480万円。
今の時代、60〜80㎡程度のフルリノベーションでは、仕様や工事範囲によって1,000万円前後、またはそれ以上かかるケースもあります。そのため、一般売出の価格と比べて割安に映る物件もある。リノベ再販の在庫が4割を占めていても、値下げすれば動きやすい理由のひとつがここにあります。
エリアで景色が違う─面積帯×築年帯×エリアで傾向をつかむ
ここまで文京区全体の数字で話してきました。ここからは面積帯×築年帯×エリア×一般/リノベの掛け合わせで、もう少し細かく傾向を見ていきます。ただし、本当の実態は棟単位・部屋単位の話です。
このセクションは「だいたいこのあたりの温度感」を掴むためのもので、個別の物件判断にはAND LENSの物件データや直接のご相談をご利用ください。
切り口は15のエリア(町名ベース)×面積帯(40〜50㎡台/60〜70㎡台/80㎡以上)×築年帯(築20年以内/21-35年/36年以上)×一般・リノベです。
エリアの分け方は町名ベースで15エリアです。文京区の町名は20ありますが、隣接する小さい町名をまとめています(例:根津と弥生→「根津・弥生」、関口と目白台→「目白台・関口」)。細かく分けすぎるとサンプルが減って統計が安定しないためです。
この粒度だと、小石川のように丁目で相場が違うエリアは内部差がならされてしまいます。そのため「このエリアはだいたいこういう傾向」を掴むための参考値だと思ってください。個別の物件判断には、棟単位・丁目単位の確認が必要です。
在庫月数は「現在の在庫÷(2026年1〜7月成約÷7)」で算出。6か月超なら、在庫がだぶついている目安です。
※市場の温度感を比較する便宜上、在庫月数6か月超を「重い」、6か月未満を「比較的軽い」区分として扱います。将来の売却期間を予測するものではなく、現在在庫と直近の成約ペースを比較する指標です。
まず文京区全体─どの区分が重くて、どの区分が軽いか
| 面積帯 | 築年帯 | 在庫 | リノベ比率 | 一般 | リノベ | 在庫月数 |
| 40〜50㎡台 | 築20年以内 | 91件 | 22% | 71件 | 20件 | 7.1月 |
| 40〜50㎡台 | 築21〜35年 | 46件 | 54% | 21件 | 25件 | 4.7月 |
| 40〜50㎡台 | 築36年以上 | 85件 | 61% | 33件 | 52件 | 4.2月 |
| 60〜70㎡台 | 築20年以内 | 93件 | 23% | 72件 | 21件 | 7.4月 |
| 60〜70㎡台 | 築21〜35年 | 70件 | 54% | 32件 | 38件 | 6.1月 |
| 60〜70㎡台 | 築36年以上 | 47件 | 53% | 22件 | 25件 | 6.1月 |
| 80㎡以上 | 築20年以内 | 21件 | 29% | 15件 | 6件 | 4.9月 |
| 80㎡以上 | 築21〜35年 | 29件 | 31% | 20件 | 9件 | 8.8月 |
| 80㎡以上 | 築36年以上 | 26件 | 50% | 13件 | 13件 | 5.9月 |
9つの区分のうち、在庫月数6か月超は5つ。
・40〜50㎡台×築20年以内(7.1か月)
在庫91件中71件が一般。一般の売主が「ちょっと高めに出して様子見」した結果、半年以上の在庫を抱えているゾーン
・60〜70㎡台×築20年以内(7.4か月)
在庫93件中72件が一般。文京区の「駅近・築浅・ファミリー向け」は供給過多になっている
・60〜70㎡台×築21-35年(6.1か月)
在庫70件の5割強がリノベ。リノベ業者の在庫が滞留しているゾーン
・60〜70㎡台×築36年以上(6.1か月)
在庫47件の約半数がリノベ。築古ファミリー帯もじわじわ重くなっている
・80㎡以上×築21-35年(8.8か月)
在庫29件中20件が一般。この区分だけで9か月分近い在庫。価格帯2億超が多く、動きが弱い
逆に軽いのは40〜50㎡台×築36年以上(4.2か月)。在庫85件と多いのに、7か月で141件が成約。リノベ比率61%で、リノベ業者が仕入れて回す循環ができています。
築20年以内の一般売出が、面積帯を問わず在庫を重くしている。 これが508件の内訳から見える主因です。
エリアごとに見ると同じエリアでも「重い区分」と「軽い区分」がある
文京区を15の町名エリアに分けて、面積帯×築年帯で在庫月数を算出しました。在庫5件以上・成約3件以上の区分のみに絞っています。サンプルが少ない区分は在庫月数が極端にブレるためです。
なお、大塚・小日向・水道の3エリアはこの条件を満たす区分が少ないため、今回は個別の解説を割愛しています。これらのエリアの物件については、AND LENSの物件データをご利用ください。
まずは在庫月数が短い=在庫に対して成約ペースが速い区分から。ただし「回転が速い=需要の中心」とは限りません。40〜50㎡台×築古は価格中央値4,980万円、60〜70㎡台×築浅は15,500万円と3倍の開きがあり、買い手の層が全く違います。その前提で見てください。
在庫月数ベスト10(軽い)
| エリア | 面積帯 | 築年帯 | 在庫 | リノベ比率 | 改定率 | 在庫月数 |
| 小石川(茗荷谷・春日) | 40〜50㎡台 | 築21〜35年 | 6件 | 50% | 67% | 2.8月 |
| 白山(白山・千石) | 40〜50㎡台 | 築36年以上 | 5件 | 80% | 20% | 2.9月 |
| 本郷(本郷三丁目・春日) | 60〜70㎡台 | 築20年以内 | 8件 | 12% | 38% | 3.7月 |
| 根津・弥生(根津・東大前) | 40〜50㎡台 | 築36年以上 | 5件 | 60% | 20% | 3.9月 |
| 春日・後楽(春日・後楽園) | 40〜50㎡台 | 築36年以上 | 5件 | 0% | 20% | 3.9月 |
| 音羽(護国寺・江戸川橋) | 40〜50㎡台 | 築36年以上 | 10件 | 40% | 40% | 4.1月 |
| 千駄木(千駄木・根津) | 40〜50㎡台 | 築21〜35年 | 8件 | 67% | 50% | 4.3月 |
| 小石川(茗荷谷・春日) | 60〜70㎡台 | 築21〜35年 | 8件 | 50% | 75% | 4.3月 |
| 千石(千石) | 40〜50㎡台 | 築20年以内 | 5件 | 20% | 20% | 4.4月 |
| 本駒込(駒込・本駒込) | 40〜50㎡台 | 築36年以上 | 10件 | 70% | 70% | 4.7月 |
※( )内は最寄り駅です。
文京区の成約の中心は60-80㎡台のファミリー帯です。しかし2026年前半、このセグメントに明確な変調が見えます。60〜70㎡台×築20年以内の月別成約は3月の18件をピークに、6〜7月は6〜7件と6割減。価格中央値は15,500万円です。
価格高騰により消費者が慎重になっていることがうかがえます。在庫月数で見ても、このセグメントは多くのエリアで6か月を超えています。
一方、ベスト10のうち7つが40〜50㎡台。
40〜50㎡台×築36年以上は7か月で141件成約と件数は最多ですが、価格中央値は4,980万円。60〜80㎡台の価格高騰が目立つなかで、コンパクト住戸は値上がり幅が相対的に抑えられており、「都心に近い落ち着いたエリアで買いたい」層の需要がまだ吸収できている。
白山(2.9か月)、根津・弥生(3.9か月)、春日・後楽(3.9か月)、音羽(4.1か月)はいずれもコンパクト×築古で回転が速い。春日・後楽はリノベ比率0%で個人売主の築古がそのまま動いている一方、白山のリノベ比率は80%でリノベ業者が仕入れて回す循環ができている。同じ「軽い」でも、エリアによって動き方が違います。
逆に成約ペースが遅い区分もあります。以下は表には載せていませんが、エリアごとに「軽い区分」と「重い区分」の差を見ていくと、同じエリアでも面積帯×築年帯で見える景色がまるで違うことがわかります。
小石川エリア─文京区最大の在庫77件、区分によって温度差が大きい
小石川エリア(茗荷谷・春日駅) は在庫77件で文京区最多。
軽いのは40〜50㎡台×築21-35年=2.8か月。月2.1件ペースで成約。60〜70㎡台×築21〜35年は4.3か月と軽い。小石川のコンパクト×築古は動きが比較的速いエリアです。
一方、80㎡以上×築21〜35年は成約ペースが遅い。在庫7件中6件が一般、改定率57%。中央値26,980万円。2億超の大型物件で買い手が限られる区分です。大型・築20年前後を売りに出す場合は、時間がかかる前提で価格戦略を組む必要がありそうです。
本駒込エリア─40㎡台×築古は軽い。60㎡台×築浅は重い
本駒込エリア(駒込・本駒込駅) はベスト表に入った40〜50㎡台×築36年以上=4.7か月。在庫10件中7件がリノベで、リノベ業者が仕入れて回すペースは速い。
一方、60〜70㎡台×築20年以内は成約ペースが鈍い。在庫9件に対して7か月の成約は4件。改定率56%で、売主はまだ動き出したばかり。同じ本駒込でも区分によって状況が違います。
湯島エリア─築浅も築古も、40㎡台の在庫が重い
湯島エリア(湯島・本郷三丁目駅) の40〜50㎡台×築20年以内。在庫14件中13件が一般、リノベはたった1件。改定率57%、経過中央値130日。7か月で成約7件と月1件のペースにとどまります。中央値13,280万円という価格帯の強気さが要因のひとつ。
40〜50㎡台×築36年以上も成約ペースが遅い。リノベ比率83%で、リノベ業者の在庫が滞留している。今回対象とした築年帯の一部で在庫月数が長くなっています。個別物件の掲載期間や改定履歴によっては、価格相談の余地を確認できる可能性があります。
本郷エリア─「重い」も「軽い」も内包
本郷エリア(本郷三丁目・春日駅) はベスト表に入った60〜70㎡台×築20年以内=3.7か月。在庫8件に対して成約15件。改定率38%で、売り手が強気でも比較的回っている。
一方、60〜70㎡台×築36年以上は成約ペースが遅い。在庫5件に対して成約3件。一般3件は改定率0%、まだ売主が値下げに踏み切っていない。
もうひとつ、本郷の40〜50㎡台×築20年以内も重い。在庫19件中14件が一般で改定率53%。経過中央値73日。「本郷が重い」のは、この40〜50㎡台×築浅の区分が重いからです。60〜70㎡台×築浅とは状況が異なります。
千石エリア─60〜70㎡台が30件、一般は長期化傾向
千石エリア(千石駅) は在庫46件のうち、60〜70㎡台だけで30件。なかでも60〜70㎡台×築21-35年は成約ペースが遅い。在庫10件中5件がリノベで改定率80%。リノベも一般も値下げしているのに動いてない。60〜70㎡台×築20年以内も7.9か月と重い。
千石は文京区の中では相場がやや落ち着くエリアです。それでも60㎡台で在庫が厚い理由は、一般・リノベ問わず供給が成約ペースを上回っているから。千石で60㎡台の売却を検討中なら、早めの価格見直しが功を奏するかもしれません。
目白台・関口エリア─60㎡台も40㎡台も在庫が滞留
目白台・関口エリア(江戸川橋・目白駅) は60〜70㎡台×築21-35年の成約ペースが遅い。在庫6件中3件がリノベ、改定率83%と手は打っているが、経過中央値182日で成約3件。月0.4件ペース。
40〜50㎡台×築36年以上も重い。リノベ比率83%で、リノベ業者の在庫が滞留している。目白台・関口の該当セグメントでは長期掲載と価格改定が目立つため、個別物件ごとに売主の販売状況を確認する必要があります。
まとめ|この数字をどう読むか
▼売却を検討している方へ
1. 最初の値付けが、その後の展開を大きく左右している。
2026年1〜7月に成約した一般売出物件を見ると、値下げなしで成約した物件の掲載期間は中央値50日。一方、値下げを経て成約した物件は中央値130日。約80日の差があります。もちろん物件個別の事情もありますが、初回の価格設定が適正(直近成約相場と近いかどうか)だったかどうかが大きいと考えられます。一般在庫299件のうち46%がすでに値下げに踏み切っており、初回改定までの中央値は61日。2か月前後で「この価格では反応がない」と判断する売主が多いことがうかがえます。
2. 60〜80㎡台×築浅は、成約ペースが鈍化している。
60〜70㎡台×築20年以内の成約は3月の18件をピークに、6〜7月は6〜7件と6割減。在庫月数は7.4か月と6か月の目安を超えています。80㎡以上×築21〜35年も8.8か月。ファミリー帯×築浅は価格高騰の影響もあり、買い手が慎重になっている傾向が見えます。このセグメントで売却中の方は、2か月反応がなければ価格の見直しを検討してみる価値はありそうです。
▼購入を検討している方へ
1. 値下げ直後は、ひとつの判断材料になる。
値下げが効いた物件は、比較的早い段階で動く傾向があります。現在の一般在庫で改定のある137件の累計下落額は中央値1,000万円(下落率6.4%)。気になる物件に価格改定があったら、内見のタイミングとして意識してみてもいいかもしれません。
2. 60〜80㎡台×築浅は、交渉の余地が広がりつつある。
60〜70㎡台×築20年以内の一般在庫72件のうち、50%が掲載90日以上、20%が180日以上を経過。成約ペースが鈍化する一方で在庫は積み上がっており、改定率も46%と、売主側が価格を見直す動きが出ています。このセグメントは、買い手にとって交渉の余地が広がりつつあるタイミングかもしれません。
3. 40〜50㎡台×築古は、エリアによって温度差が大きい。
白山(2.9か月)、根津・弥生(3.9か月)、春日・後楽(3.9か月)手頃な価格帯のコンパクト×築古は回転が速いエリアがあります。一方、同じ40㎡台×築古でも湯島は10.5か月と滞留しており、エリアごとの差は大きい。気になるエリアや個別物件の売出経過日数を確認してから動いても遅くはありません。
文京区マンション情報局公式LINE─新機能紹介
この記事を読んで「自分のマンション(検討中のマンション)はどうなのか」と思った方へ。
公式LINEのリッチメニューから「マンション分析」をタップし、現在販売中のマンション名を入力するだけで以下の情報がすぐに表示されます。

・売出状況─現在の販売価格・坪単価・掲載確認日・経過日数
・価格改定の履歴─改定回数・改定日・改定前の価格・下落額・下落率・売出開始からの累計変動
・取引事例─同じマンションの成約事例
・比較候補─近隣の類似物件
便利な機能なのでぜひ使ってみてください。個別相談もLINE経由で承っています。
おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございました。
今回はデータ中心の内容でしたが、数字はあくまで判断材料のひとつです。同じエリア・同じ広さでも、「この部屋に住みたい」と思えるかどうかは数字だけでは測れません。
「うちのマンション、実際どうなの?」「このエリアで探してるんだけど」─そんなときは、ぜひAND LENSをご活用ください。