コラム

新規売出は月曜に集中?文京区中古マンション4,143件で見えた市場のクセ

はじめに

こんにちは。春日です。

今回は、物件を探している方が何となく気になっていそうなことをデータで調べてみました。

・新着って何曜日に増えるの
・価格改定って週末前と週明け、どちらに出やすいんだろう
・築何年で売りに出す人が多いの
・リノベ再販って、一般売出と売れ行きは違うの
・管理費が高いと、やっぱり売れにくいの

こういう疑問って、何となく答えを持っている気になります。でも、実際に数字で並べてみると、感覚とぴったり合うものもあれば、少しズレるものもある。

そこで今回は、AND LENSに蓄積した文京区の中古マンションデータを使って、市場の「ちょっと気になる5つのクセ」を調べてみました。

文京区のデータではありますが、
市場の動きに影響する要因はエリアを問わず共通する部分が多いので、他の区で探している方にも参考になると思います。

新規売出は「月曜日」がトップ!水曜日はわずか全体の4%

AND LENS上の売出データ(2022年1月〜2026年4月)4,143件を曜日別に集計しました。(※専有面積40㎡以上・オーナーチェンジ除く)

画像
新規売出の曜日別件数(2022年1月〜2026年4月・4,143件)

一番多かったのは月曜日(20.4%)
次いで日曜日(18.7%)、金曜日(17.3%)と続きます。

一方、水曜日はわずか4.2%、火曜日も10.3%と少なめ。
不動産仲介会社は火曜・水曜定休が多いため、新規登録や更新作業が減りやすいからですね。

価格改定の曜日も似た傾向で、金曜(20.8%)と月曜(20.7%)がツートップ。水曜は63件(3.7%)にとどまりました。

つまり、公開市場は毎日均等に動いているわけではなく、「月曜と金曜に厚く、火曜・水曜は薄い」というリズムがあります。

買う側からすると、新着を早めに追いたいなら月曜はかなり重要です。

週末の商談や内見状況を経て、その結果が月曜に反映されるという流れが見えます。

売出期間中に値下げする物件は「2件に1件」

4,143件について、売出期間中に一度でも値下げがあったかを調べました。

画像
売出期間中の値下げ有無(2022年1月〜2026年4月・4,143件)

2件に1件以上が、売出期間中に値下げをしています。
注)最終的な成約価格が確認できない物件も含まれるため、 実際に値下げを経て成約に至った物件は、この数字より多い可能性があります。

では、どのくらい下がるのか。
売出価格から掲載終了時点の値下げ率はこうなりました。

画像
値下げ幅の分布(値下げあり2,342件・売出価格からの値下げ率)

平均:7.0%
中央値:5.5%
最も多いのは5%〜10%の価格帯(30.7%)

例えば中央値ベースで見ると、
5,000万円台の物件なら約275万円、
8,000万円台なら約440万円、
1億円台なら約550万円の値下げです。

もちろん、最初からほとんど下げずに動く物件もあります。実際、26.8%は3%未満の小幅調整で収まっています。

一方で10%以上の値下げも約23%あります。

最初の価格設定が高すぎると長期化→大幅値下げのパターンに入りやすいことがデータから読み取れます。

リノベ再販は「3件に2件」が価格改定!掲載日数は一般売出の1.6倍

最近、買取再販業者がマンションを仕入れてリノベーションし、元の価格からかなり上乗せして売り出すケースが増えています。

▼AND LENSでは物件タイプの分類も蓄積しているので、直近のデータでリノベ再販と一般売出を比較してみました。
期間:2026年3月〜4月
取引件数;190件(成約・掲載終了・売りやめ含む)

画像
リノベ再販 vs 一般売出の比較(2026年3〜4月の取引データ)

まず目立つのは、改定あり率63.8%という数字です。
リノベ再販は約3件に2件が価格改定しており、一般売出より明らかに高いです。

しかも、掲載日数の中央値は120日。
一般売出の74日と比べると、約1.6倍かかっています。

一方で値下げ幅は平均6.4%と、一般売出の8.7%より小さい。

再販業者は仕入れ価格+リノベ費用+利益で販売価格を設定するため、利益を確保できるラインまでしか基本下げられません。その結果、小刻みに価格改定を繰り返しながら長期化するパターンが多いと考えられます。

画像
面積帯の分布(リノベ再販47件 vs 一般売出143件・2026年3〜4月)

リノベ再販は40〜50㎡のコンパクト帯が約3割を占め一般売出(18.2%)より多い。逆に70㎡以上のファミリー帯は少なく、比較的小さめの物件をリノベして売り出す傾向が見えます。

画像
築年数帯の分布(リノベ再販47件 vs 一般売出143件・2026年3〜4月)

リノベ再販は築20〜30年と築40〜50年にピークがあり、特に築20年以上の物件が約8割を占めます。

築浅を安く仕入れて再販するのは難しいので、築古をリノベして「見た目を新しくして売る」モデルがはっきり出ています。

※サンプルサイズが限られるため、傾向の参考値としてご覧ください。

築5年と築20年に売出が集中する

竣工年月と売出日から算出した「売出時点の築年数」を1年刻みで集計しました。

画像
築年数別の売出件数(2022年1月〜2026年4月・該当1,909件)

▼築4〜6年:税制の節目
不動産の売却益にかかる税率は、所有期間5年以下(短期譲渡)で約39%、5年超(長期譲渡)で約20%でほぼ倍の差があります。
築年数=所有期間ではありませんが、新築で購入した場合、築5年以上で長期譲渡の条件を満たすケースが多いため、このタイミングで売却に動く人が増えるのは自然です。

▼築17〜21年:複数の要因が重なるゾーン
こちらは実務的にもあるあるのタイミングです。
・住宅ローン控除(最長13年)の終了後であること
・1回目の大規模修繕(築15年前後)を経験し、 次の修繕積立金値上げの前に手放す判断をするケース
・子どもの独立や世帯人数の変化で、広さが合わなくなる時期
・築20年という心理的な節目

特に注目したいのは、築20年での改定率の跳ね上がりです。 築19年の改定率は11%ですが、築20年では26%に急上昇しています。築20年を境に、価格改定をする物件が倍以上に増えている。

売却を考えている方にとって、「築何年で売るか」はタイミング戦略のひとつです。 税制と修繕の節目を意識しておくだけで、判断の仕方が変わります。

※築年数は竣工月ベースのため、実際の入居日・取得日とは異なります。あくまで竣工からの経過年数として参照してください。

管理費+修繕積立金が㎡単価800円を超えると売れにくくなる

最後に、管理費と修繕積立金の合計額を専有面積で割った「月額の㎡単価」別に、売出傾向を見てみました。
※自主管理物件や、金額が不明だったものは除外(53件)し、4,090件を対象としています。

画像
管理費+修繕積立金の㎡単価別 売出傾向(4,090件)

文京区全体の中央値は487円/㎡です。
前提として、管理費の上昇や修繕積立金の値上げは、今の時代背景を考えれば避けられない流れです。 建築資材・人件費の高騰、管理員の確保難など、 どのマンションでもコストは上がっています。

むしろ、適切な修繕積立金の積み上げはマンションの資産価値を維持するために不可欠で、 安すぎるほうが将来のリスクになります。

ただ、それとは別の話として、「ランニングコストが高い物件は、実際に売れにくいのかどうか」を データで見ると、はっきり差が出ています。

400〜500円/㎡帯までは掲載日数81〜83日と大きな差はありません。ところが600円/㎡を超えると改定率が17.9%に上がり始め、800円/㎡を超えると掲載日数の中央値が134日。全体の約1.6倍です。

70㎡の住戸なら、管理費+修繕積立金の合計が月56,000円を超えると㎡800円ラインになります。 この水準の物件は72件と少数ですが、 値下げ率63.9%・改定率19.4%と、他の帯より一段厳しい数字です。

管理費や修繕積立金が高いこと自体が悪いわけではありません。 ただ、買主は物件価格だけでなく、住宅ローンの返済額+毎月の固定費で判断します。 月々のシミュレーションで「想定より高い」と映ると、内見の前に候補から外れることもあります。

売却を考えている方にとって大事なのは、 自分のマンションの管理費・修繕積立金が市場の中でどの位置にあるか(特にライバルになりそうな物件)を把握しておくことです。 高い側に入っているなら、その分だけ物件価格で調整が必要になる可能性があります。

まとめ

今回は、AND LENSのデータベースに蓄積した文京区4,143件の売出データから、5つの切り口で市場を見てみました。

1.新規売出は月曜日がトップ、水曜はわずか全体の4%
2.当初価格から下がる物件は56.5%、値下げ率中央値は5.5%
3.リノベ再販は3件に2件が改定、掲載日数は一般売出の1.6倍
4.売出が増える節目は築5年前後と築20年前後
5.管理費+修繕積立金が800円/㎡超になると掲載日数は1.6倍まで伸びる

文京区のデータではありますが、曜日の偏り、税制の節目ランニングコストの影響といった背景はエリアを問わず共通する部分が多いので、 他の区で探している方にも参考になったらうれしいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人
アバター画像
春日

文京区の不動産会社で働く共働きの子育て世代です。業界歴15年/宅地建物取引士。文京区の中古マンション市場に特化したデータツール「AND LENS」を運営しています。

個別物件のデータを見る

価格改定の履歴・競合比較・成約データなど
AND LENSで文京区の全売出物件をチェック

LINE登録して使ってみる
目次